ぺット製品臨床試験, ペット連載コラム 09
猫の療法食とは?種類や一般食との違い・与えるときの注意点を解説!

愛猫が病気と診断され、療法食をすすめられて戸惑っていませんか。療法食は一般的なフードとは目的も役割も異なり、獣医師の指導のもとで与えるものです。ただし、種類や与え方が分からず、切り替えに不安を感じる飼い主も少なくありません。
当記事では、猫の療法食の目的や一般食との違い、症状に合わせた種類、与えるときの注意点、食べてくれないときの対処法などを解説します。愛猫に合った食事管理の参考にしてください。
1. 猫の療法食とは?

猫の療法食とは、特定の病気や健康状態にある猫の食事療法のために、栄養成分の量や比率を調整した特別なフードです。獣医師の診断・指導にもとづいて与えるものです。目的や一般食との違いを以下で解説します。
1-1. 療法食の目的
療法食の目的は、特定の病気や健康状態にある猫の栄養管理を、獣医師の指導のもとでサポートすることです。症状に合わせて栄養成分の量や比率を調整しており、体重管理が必要な猫には低カロリーのもの、尿路結石症向けにはミネラルを調整したものが用いられます。健康維持が目的の総合栄養食とは、療法食は役割が異なるフードです。症状ごとに栄養素を調整した食事を毎日手作りするのは難しく、獣医師の判断のもとで与える療法食が用意されています。
1-2. 療法食と一般食の違い
一般食と療法食の大きな違いは、栄養設計の目的と与え方にあります。総合栄養食などの一般食は、健康な猫の毎日の食事として、必要な栄養をバランスよく摂取できるよう作られたフードです。量販店や通販などで購入でき、猫の年齢や体質に合うものを選んで与えます。
一方、療法食は腎臓病や尿路疾患、消化器疾患など、特定の病気や症状に合わせて栄養成分を調整したフードです。健康な猫が自己判断で食べ続けると、必要な栄養が不足したり偏ったりするおそれがあります。そのため、療法食は獣医師の診断や指導を受けた上で、目的に合わせて与えることが大切です。
2. 猫の療法食の代表的な種類
猫の療法食は、対応する病気や症状ごとにさまざまな種類があります。代表的な6つの種類と、それぞれがどのような猫に向いているのかを、以下で順に紹介します。
2-1. 尿路結石症向けの療法食
尿路結石症向けの療法食は、マグネシウムやカルシウム、リンといったミネラルの量を調整し、尿のpHに配慮して設計されたフードです。結石の種類や猫の状態に合わせて使い分けるため、どのタイプが合うかは獣医師が判断します。長く続けることが多く、猫が食べやすい嗜好性の高さも選ぶ際のポイントです。あわせて、水分をしっかりとれる環境づくりを獣医師にすすめられることもあります。
2-2. 腎臓・心臓疾患向けの療法食
腎臓・心臓疾患向けの療法食は、リンやタンパク質、ナトリウムの含有量を抑えて設計されています。タンパク質は、体内で効率よく利用できる高品質なものが使われるのが特徴です。犬では腎臓用と心臓用に分かれることが多い一方、猫では1つで両方に配慮したタイプが主流です。腎臓や心臓の状態は個体差が大きいため、与える療法食や続け方は獣医師の指示に従うことが欠かせません。
2-3. 消化器疾患向けの療法食
消化器疾患向けの療法食は、低脂肪で消化性に優れた原料を使って設計されています。タンパク質には、食物アレルギーに配慮した新奇タンパクや加水分解タンパクが使われることもあります。食物繊維の量を調整し、下痢や嘔吐で不足しがちなミネラルにも配慮した設計が特徴です。症状の程度で選ぶべきタイプが変わるため、獣医師や愛玩動物看護師に相談して選ぶと安心です。
2-4. 食物アレルギー向けの療法食
食物アレルギー向けの療法食には、アレルギーの原因となりにくい加水分解タンパクや新奇タンパク、精製したアミノ酸などが使われています。新奇タンパクとは、猫が過去に口にしたことのない原材料を指す、アレルギー反応が出にくいと考えられるタンパク質です。皮膚や被毛に配慮してオメガ3脂肪酸を配合したタイプもあります。食物アレルギーの原因確認には除去食試験や負荷試験が用いられるため、切り替えや与え方は必ず獣医師の指示に従いましょう。
2-5. 肥満向けの療法食
肥満向けの療法食は、カロリーや脂肪を抑えつつ、筋肉の維持に必要なタンパク質は保つよう設計されています。食物繊維の量を調整したものが多く、食事の量を管理しやすいのも特徴です。肥満の猫は結石症などのリスクが高いとされ、ミネラルに配慮した製品もあります。急な切り替えは体に負担がかかるため、獣医師と相談しながら、1〜2週間ほどかけて少しずつ移行しましょう。
2-6. 糖尿病向けの療法食
糖尿病向けの療法食は、炭水化物を抑え、タンパク質を多めにした設計が特徴です。糖質には、体内でゆっくり吸収されるタイプの原料が選ばれています。可溶性と不溶性の食物繊維のバランスも調整されており、食事の管理に配慮したつくりになっています。糖尿病は継続的な管理が欠かせない状態のため、フードの選択や与える量は、獣医師の指導に沿って決めることが大切です。
3. 猫に療法食を与えるときの注意点

療法食は、与え方を誤ると猫の体に負担をかけてしまうことがあります。安心して食事管理を続けるために押さえておきたい3つの注意点を、以下で順に紹介します。
3-1. 療法食は少しずつ切り替える
猫は警戒心が強く、フードを急に変えると食べてくれないことも少なくありません。まずは今までのフードを少し減らし、減らした分に療法食を混ぜることから始めます。食いつきや体調に問題がなければ、1週間から10日ほどかけて療法食の割合を1割ずつ増やしましょう。
焦って療法食だけにする必要はなく、気長に取り組む姿勢が大切です。栄養設計が同じでフレーバーの違う製品もあります。なかなか切り替えが進まないときは、動物病院に相談してみてください。試供品を受け取れることもあります。
3-2. 療法食は動物病院で購入・相談する
猫の療法食は、栄養成分や含有量が特別なバランスで調整されています。与えるかどうかは獣医師が判断するもので、飼い主の自己判断で与えるのは避けましょう。過去に同じような症状で処方されていたとしても、安易に与えるのは危険です。購入や相談は動物病院で行い、獣医師の指導のもとで正しく与えることが大切です。
切り替えた後も定期的に診察を受け、下痢やかゆみなど気になる変化があればすぐに相談してください。よかれと思って別のフードを足すと、整えた栄養バランスが崩れてしまうこともあります。
3-3. トッピングやおやつは控える
療法食は、決められた栄養バランスで与えてこそ意味があります。トッピングやおやつ、人の食べ物を足すと、整えた栄養バランスが崩れてしまうことがあります。塩分や脂肪の多いおやつは、体調管理の妨げになりやすいため注意が必要です。
療法食を食べてくれないからといって、自己判断で好きなものを混ぜるのは避けましょう。どうしても食べないときや、おやつを与えたいときは、まずかかりつけの動物病院に相談してください。獣医師が認めた範囲であれば、専用の低脂肪おやつなどを取り入れられる場合もあります。
4. 猫が療法食を食べてくれないときの対処法

療法食をなかなか食べてくれないときは、次のような工夫があります。
- フードを温める
電子レンジや湯せんで、体温に近い35〜39℃ほどに温めます。冷えたフードはにおいが立ちにくく、温めるとにおいが広がって食べやすくなります。加熱のしすぎや金属容器の使用は避けましょう。 - フードをふやかす
噛む力が弱った老猫には、ふやかす方法が向いています。ぬるま湯やペット用ミルクを使い、栄養が溶け出した水分ごと与えるのがポイントです。 - 別のメーカーやタイプに変える
味やにおいはメーカーごとに異なります。嗜好性の高い缶詰やパウチなど、別のタイプに変えると食べてくれることもあります。
いずれの工夫も、猫の状態に合うかは獣医師に相談しながら進めることが大切です。獣医師の指導のもとで、愛猫に合った方法を見つけましょう。
まとめ
猫の療法食は、特定の病気や健康状態にある猫の栄養管理を、獣医師の指導のもとでサポートするための特別なフードです。健康維持を目的とする一般食とは役割が異なり、尿路結石症や腎臓・心臓疾患、消化器疾患、食物アレルギー、肥満、糖尿病など、症状に合わせてさまざまな種類が用意されています。
与えるときは少しずつ切り替え、動物病院で購入・相談し、トッピングやおやつは控えることが大切です。食べてくれないときは温めるなどの工夫もありますが、いずれも自己判断は避け、獣医師に相談しながら進めましょう。
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